6月10日の日記

2008年6月10日
「象の背中」という映画を観た。

末期の癌を宣告された主人公は、延命治療を断り、以前係わった人々に会いに行く。

告白できなかった初恋の人。
つまらない事で仲たがいしてしまった親友。
不義理をしてしまった元取引先の社長。
心のわだかまりを消し去るかのように、別れの挨拶廻りをする。

すっかり決心をしたかのように見える彼も、兄にだけは本心を見せる。
「兄ちゃん 俺 死にたくないよ」
妻子を残し、やり掛けの仕事を残し、満足して死んでいける奴など居やしない。
 
でも、この人の死は何とも“贅沢”な 死 にみえた。
心の中の澱の様な物を綺麗にする時間を与えられ、愛する家族にも別れて行く決心をする時間を与え、そして見守られながら逝く。
死んでしまうことは、悲しく切ない事には、変わりは無いのだが、少なくとも、ただそこに、その時間に“居た”というだけで、人生を終わらされてしまった人達よりはずっと良い。

コメント